働く理由
何故あなたは仕事をしていますか? 「お金が欲しいから」「生活するため」 大半の方がこの2つの答えなのではないでしょうか? 中には「仕事が好きだから」とか「自分のスキルを上げる為」というような少しアクティブな答えをお持ちのかたもおられることでしょう。 しかし、大半の方は前者の答えであることは間違いないと思います、だって生きるためにはお金が必要ですから。生きるためのお金(=最低限の衣食住)のお金です。最低限とは、肌着や寒さをしのぐ為の衣服、生命を保つための最低限の食料、そして最低限の住まい、の事です。世界にはこれさえ不足している国がまだまだ存在していますね。 次に、この最低限の衣食住が満たされると、次には「豊かになるための衣食住、その中でもモノ」を人間は求めるようになります。例えば、お洒落な服装をしたい、髪の毛にパーマを当てたい、美味しい寿司を食べたい、戸建住宅に住みたい、マンションを所有したい、自動車を買いたい、バッグを買いたい、時計を買いたい・・・・エンドレスですね(笑) 人間という生き物は、今が満たされるとついつい「もっともっと」という風にどんどん要求(=欲求)が大きくなっていくように出来ています。なかなか、この段階で満たされる状態までいかずに人生を終える方が大半かも知れません。平成に変わったあたりから、モノを満たしたいという欲求が充足されて、物余りの時代が到来しました。物が余って、今まで欲しかった高級品なでの代替品なども品質の良いものが市場に溢れだしてきましたので、代替品でも物欲が満たされるようになった時代が平成の時代ではなかったでしょうか。 物欲が満たされると、人の気持ちは次には「体験」を求めるようになってきました。体験とは、物の所有権の移転を伴わないサービスによって対価が発生する消費行動のことを差します。一番解りやすいのが、「旅行」でしょう。LCCなどの普及に伴い、海外旅行も大変安価にいけるようになりました。我々日本人だけに限らず、大挙押し寄せる中国からの観光客も、当初は爆買いに代表されるように、モノを追い求めていましたが、インターネットの普及のせいでしょうか、意識の移り変わりの速度が非常に速く、モノからコトへの消費と時代はシフトしてきました。ドラッグストアで化粧品を大量に買っていた次代から、京都の祇園で着物を着て和メイクをして、写真撮影をするなどわかりやすい消費の変化ですね。 さて、こうした欲求を叶えるためというのも仕事をする理由のひとつです、もちろん生活する為、という基本は底にはあります。結果的に欲求がどうであれ、仕事は好きでも嫌いでもしなくてはならない訳です。堀江隆文さんが時々言われている「ベーシックインカム」などという仕組みの話は、また別の次元の話ですのでここでは割愛させていただきます。 仕事の場は大変な修行の場です。苦手な人ともコミュニケーションを持ったり、お客様商売であれば今までつかった事のない敬語を使ったり、お客様満足を必死に勉強したり、今までは自分満足を目的としてきた人が、仕事をすると人の視点で生きることを次には経験することとなります。 人が生まれてきた本当の目的は「自己実現」ではなく「自分を磨く」ということにあります。自己実現とは、自分の欲求を満たすという事です。物欲、経験欲、そして社会に有益な存在になるという目標まで至ることができれば立派なことだと思います。自分を磨くということは、自己実現とは少し逆説的になりますが、欲をそぎ落として光り輝く存在になるという意味です。仕事は人を磨く一番の磨き砂です、いろんな形の砂や石ころが混ざっていますので、ぶつかりやすいですから・・・。もちろん、仕事をしていなくて専業主婦だって立派に人生経験を積んでおられます、嫁姑の問題などが一番の典型例ですね。また、一生結婚をせず、一人で生涯を終わる方もこれまた、一人で生きるということを勉強されているわけです。人生ずっと勉強です。